News ReleaseNTT DATA

平成11年5月17日

「女性の就業と在宅ワークに関する調査」集計結果について

<はじめに>
 
 情報ネットワークの普及・充実と、雇用情勢およびワークスタイルの変化の中で、在宅ワークやSOHOに関する関心が高まっていますが、その一つに家事・育児とバランスを取りながら女性が就業することを促すのではないかという期待があります。しかし、一方で期待が先行するという指摘も見られるように、未知数の部分も多く残ります。少子・高齢化の進展や雇用機会均等法改正の一方で雇用情勢が厳しさをますなど、労働市場も女性の就労環境も変化する中で、女性は就労やキャリア形成に対してどのような意識をもっているでしょうか。それをふまえて、在宅ワークも含む就労環境の在り方を検討することが必要です。 
 こうした社会情勢との関連において在宅ワークの今後を探るために、株式会社NTTデータ、システム科学研究所では、雇用均等法施行後に四年制大学を卒業した首都圏在住の女性を対象に、本年1999年2月に「女性の就業と在宅ワークに関する調査」を行いました。

<調査内容>

主な調査項目としては、

  1. 就業についての現状と考え方
  2. ライフコースと就業のかかわりについての考え方
  3. 在宅ワークについての考え方
  4. 家庭生活についての考え方
    と、特に調査対象とした女性本人の意識や考え方に焦点を当てた点が特徴となっています。

<調査方法>

●サンプリング方法
全国の大学卒業者名簿より、首都圏30km圏内に居住し、1986年以降に四年制大学を卒業した女性4,470人を抽出、うち追跡可能な者を調査対象とした。
●回答者プロフィール
合計700名、うち年齢構成は25-29歳55.0%、30-34歳40.9%、35-39歳4.1%。未既婚別は未婚者57.7%、既婚者41.9%、その他0.4%。子供の有無では、子供があるのは24.9%。

<結果要約>

 就労意識においては、専門職志向と向上心が高く、一方組織内での地位・出世へのこだわりは専門職志向と比べると希薄である。しかしその専門職志向や向上心は、現実には完全に満たされているわけではない。ここから、女性の就業環境を整える上では、昇進機会の増大だけでなく、専門職としての位置づけ方にもさらに工夫が必要だと考えられる。 
 家事・育児、特に育児を重んじて責任感も強く、これとバランスの取れた就業を望む者も多い。具体的なバランスの取り方についての考えはバラつきが大きく、その中で育児休業も絶対的な支持を得るには至っていない。 
 在宅ワークについての関心は高いが、その理由は通勤問題以上に就業時間の融通性の高さへの期待である。その時間の融通性が家事・育児とのバランスの助けとなり、専門職としてのスキルやキャリアが蓄積できる仕組みを作れば、在宅ワークはこうした女性の就労に有益なものへとさらに発展する可能性をもつ。

  1. 就業状況
    大学院・海外留学等、国内4年生大学卒以外の最終学歴は1割未満。就労率は8割弱、就業経験率はほぼ全員。「サービス業」「事務職」が多く、部下・従業員を持つのは就業者の1割未満。
  2. 就業に対する志向性
    希望するのは「管理職」より「スペシャリスト」、仕事に求める「自分の向上・リソース拡大」。就業条件として気にかけるのは「できるだけ高い収入」より「結果にふさわしい賃金」。他に「興味の持てる仕事内容」、「就業地」。既婚者は「家事や家族の世話が優先できること」、相対的に重視度の低い「出世・昇進」。
  3. ライフサイクルと就業
    希望としては「育児期離職」と「中断なく継続就業」の支持がほぼ同数。実際の育児理由非就業者は2割に満たないが、既婚者では半数強。育児支援策として期待が高い短時間勤務制度。
  4. 在宅ワークについて
    認知度の高いキーワード「在宅」。「メリットがあると思う」のは7割で、「自由な時間に仕事ができる」ことを期待。「メリットがないと思う」理由は「仕事と家庭生活の場所は区別したい」。家事・育児とのバランス期待はある一方で、協働上の不都合を懸念。ただし、顧客や周囲から悪いイメージをもたれる等の漠然とした不安は目立たない。
  5. 家事・育児について
    分担度合いについては、本人負担が平均8.2割。10割負担との回答者も1割5分以上おり、高い本人の負担度合い。既婚者の協力者のトップは「夫」。「育児」は「家事一般」「介護」と比べて自分でかかわる希望も責任感も高く、やや特別扱い。

<調査結果の説明>

 就業一般について見ると、98.0%と殆ど全員が就業経験を持つことが示され、さらにその職種・業種傾向が明らかになっている。一方、部下・従業員を持つ就業者の比率は高くなく、最も多い30代前半でも1割を若干上回る程度(12.0%)と示されている。
 スペシャリスト志向の高さは際だつ傾向であることが確認されると同時に、現実とのギャップも見ることができる。今回これに加えて強く見られた傾向性の一つが、「就業条件として妥協するなら出世・昇進」という意識であった。同時に、向上意欲・能力開発等に関する質問の回答からは、概ね高い向上心が伺われる。従来は、「向上心」や「熱意」と、「出世・昇進」、そして「仕事が面白いということ」とがしばしば一体のものとして認められてきた。しかし今回の結果は「出世にこだわらないが向上してゆくスペシャリティ」という考え方の萌芽・模索と見ることもでき、注意を払うべき事象である。しかもそれは、いわゆる「組織にとらわれない専門家」とも少し異なる。「人間関係」を重んじる者も多く、「仕事の紹介は以前の仕事の関係から受けたい」という希望が高いなどの結果からは、こうした層をうまく取り込んだ柔軟な人的ネットワークの構築が期待される。
 そうした「新しい働き方・働かせ方」の模索は、女性労働力の戦力化の面からばかりでなく、日本の組織における専門職化の今後を造る意味でも、重要な課題となるのではないか。これは必ずしも正規雇用専門職だけでなく、新しい自営業スペシャリストのあり方へと発展する可能性もある。
 育児支援面では、導入が進みつつある育児休業が必ずしも高く支持されているとは言えない。何らかの形で就業を続ける希望が高い以上、「戻る先のある」休職は魅力があると想像されるが、今回の結果はその予想と必ずしも整合しない。この点は、高齢化に伴って今後必要性の高まりが予想される介護休職制度についても、共通する問題を提起しているのかもしれない。この制度の運用上の工夫に加えて、そもそも期待より低い評価が発生している理由を掘り下げることが、女性の就業環境整備の点から必要ではないか。
 「在宅ワーク」も、こうした女性の就労の現実と意識の中で適切な位置づけを成立させることが重要であろう。しかし、今回の調査では、ポジティブなイメージは高い割に、育児支援策としての期待度はそれほど高くない。女性が就業上のバランスを考える際の有効な選択肢として十分具体的にイメージはされていないのだろう。在宅ワークが実際に女性の就業継続上の有効な選択肢になるか否かは、具体的な運用に依存すると見ることもでき、工夫の余地がまだ多く残る部分だと言えるだろう。

<今後の展開>  

 本調査は、システム科学研究所が継続的に行っている、在宅ワークや企業コミュニケーション調査研究の一貫として実施したものです。今回は女性の就労と在宅ワークに関する意識の全体傾向をまとめました。今後は調査結果をもとに、就業意識類型と在宅ワークのとらえ方の関連などさらに詳細な分析を実施し、企業組織とその構成員の双方にとって新たな選択肢として定着できる在宅ワークのあり方と、これに必要な施策・サービスのあり方を、情報通信のビジネスチャンスの側面を中心にしながらも、より広い視野で探っていきます。

調査担当者紹介:
福留恵子(ふくとめけいこ)
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ システム科学研究所シニア・スペシャリスト
(大阪大学国際公共政策研究科博士後期課程在籍)
東京大学文学部(社会学)卒業後、1987年日本電信電話(株)に入社。
1993年よりシステム科学研究所にて、組織コミュニケーション等の研究に従事。
1997年高橋亀吉記念賞優秀作受賞(受賞論文「少子・高齢化社会のゆくえと対応策」)。                                    

                       


【本件に関するお問い合わせ先】                  
株式会社 NTTデータ システム科学研究所
研究企画担当 佐藤
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